Elephant Nature Park – 最終回 <<その4:メッセージ>>

Elephant Nature Park – 最終回 <<その4:メッセージ>>

こんにちは、夫のテンです。

 

リアルタイムはタイとカンボジアの国境付近にある離島マーク島からバンコクに帰ってきました。最後の予防接種を打つために約1ヶ月ぶりのバンコク。バンコクに戻ってきたときに、少し地元に戻ってきたような懐かしさだったりを感じました。

そうついに世界一周初めて1ヶ月が経ってしまいました!!!ずーーーーーっとタイにいるので世界一周している感ゼロなんですが。。

タイフード大好きで、死ぬまでに3カ国の国の料理しか食べることが出来ません、何の国の料理を選びますかと問われれば、おそらく日本、イタリア、そしてタイと答えるくらい好きなんですが、さすがに毎日食べてるとちょっとタイ料理への興味が削がれてきました。もうタイからでタイ。

 

 

さて長らく書き続けてきたElephant Nature Parkの記事ですが、今回で最終回。

最近割と硬く面白くない文章でブログをお送りしてきましたが、今回はさらに固さを増して書きたいと思います。本当にかっちんこっちんです。

 

象の顔って笑ってますか?起こった顔してますか?それとも無表情ですか?

ここの係の人に言われるまで僕はあまりというか全く象の表情に注意を払ったことはなかった。注意して見てみるとここの象は笑顔なことが多いのです。

のびのびと暮らして、マフートやボランティアの人に可愛がられ幸せな暮らしを送っているからか、象の顔はとても笑顔に見えます。でも動物園やサーカスなどにいる象の笑顔は、ここの係の人曰く無表情だったり悲しげな顔をしているそうです。

 

笑顔の象さん。もうまぬけそうな顔してますね。

 

でもここは象の保護施設。幸せそうな象達の笑顔の裏には悲惨な過去があります。そしてそれは現在進行形で他の象達の身に降りかかっているのです。

 

ロギング(木の伐採)で重い木を運ぶのに象は使われています。タイでは1987年に違法になりましたが未だ違法ロギングが行われています。隣国ミャンマーではまだ合法で当然象を使ったロギングは行われています。

ロギングは当然ながら象への体の負担が大きく、また山道など険しい道にも関わらず象の足には鉄の足かせがされており頻繁に象の横転事故が発生しているらしいです。その横転事故の結果がこの写真です。

足が砕けギブスをしている象。

 

メスの象は妊娠を強要させられます。ほとんどの野生動物はそうだと思いますが、自然界ではメスは気に入ったオスとのみ交尾をします。しかし人間に飼われているメスが交尾するオス象は人間が勝手に選ぶものです。当然ながらメスは嫌がります。ではどうするか。体をガチガチに縛り上げて動けなくし、無理やり交尾させるのです。まさにレイプですね。

この際にメスは当然嫌がり体を無理矢理動かそうとしますが体が縛り上げられているので、体に大きく負担がかかります。その結果大怪我をすることがあります。またメス象の体の状態関係なく何度も何度も妊娠させ子供を産ませることからもちろん体の外部だけでなく内部もボロボロになります。

強制妊娠の過程で折れた左前足。

 

象の鼻は犬よりも良いらしいです。匂いを嗅ぎとる受容体の数が犬の2倍以上あるようで、象の鼻はただ長いだけではないよいうです。一方で目はその分とても弱いのです。人口の光により簡単に失明してしまいます。

サーカスだったり、Street begging(一般道で見世物にされている象)の象の多くは実は失明していたりします。

この象は右目が失明しています。Street Beggingで車などのライトで目がやられてしまったそうです。

 

象大国のインドはさらに悲惨な現状らしく、インドの象の足にはロープを通すための穴が文字通り穴として空けられているようです。象はインドでは神の乗り物であり、服を着せられていますが、これは実は身体中の傷を隠すために着せられていると。服ではどうしても隠せないのが足なので、足に注目すると、先述の穴だったり、青くあざのできた足が見えるらしいです。

 

象は人間と同じように心があります。喜怒哀楽を感じることが出来るのです。それは象は恐怖を感じ、心にトラウマを持つということももちろんあるということを示しています。

サーカスで芸をする、背中の上に人を乗せて散歩する、これらは当然自然界の象はしません。なぜ自然でしないことをするのか。これには恐怖によるしつけがあるのです。

言うことを聞くまで何度も何度も鞭や棒で打たれるのです。それが嫌で芸をするのです。人を乗せるのです。好きでやっている訳ではありません、殴られるのが怖いのです。

この恐怖は象にトラウマを植え付けます。

とある象は生まれてから40年ほどずっと足かせをつけられて恐怖による労働をし続けました。この象が保護され足かせが生まれて初めて外され自由になり、食事が与えられました。ところがこの象は一切食事を取らないのです。体はいたって健康なのですがどうしても食事を取ろうとしないのです。そこでマフートが足かせをはめるように提案しました。ようやく足かせを外して自由にしてあげたのにまた足かせをつけるなんて、とこの園のオーナーは大反対しますが、一向に食事を取らないので、一か八かついに足かせをつけることを許可しました。すると餌を食べ始めたのです。園の人曰く、これは足かせを外して勝手な行動をすると殴られるという恐怖のトラウマがあったせいだと。

 

日本にはな子という象がいました。概要はWikiでも見てもらえてばと思いますが、少しWikiでさえ書かれていないことをお伝えしようと思います。この象は66歳という日本では最高齢の象としてなくなりましたが、実はこの象もここ Elephant Nature Parkで保護しようとしていた象でした。ところがはな子を結局は保護することが出来ぬまま日本で死んでしまいました。というのも、はな子は小さい頃から一匹でずっと日本の狭い同じ動物園のオリの中で暮らしていたため、ほんの少しでも環境が変わるとそれがストレス要素となってしまうのです。また高齢のためそのストレス要素に体が耐えられなかったらしいのです。ほんの少しでも環境が変わるとと書きましたが、例えばオリの中に見知らぬ小さなタオル一枚置いただけではな子は挙動不審になってしまったらしいです。恐怖ではないかもしれませんが、これも一種のトラウマです。

 

園の方曰く、はな子だけでなく動物園の象はすべからく虐待されているのも同じだとのことです。象はその巨体のため足に大きな負担がかかり、通常は砂場だったり芝生だったりと足に負担をかけない場所にいる必要があります。ところが動物園の多くはコンクリートです。動物園の硬い地面におかれた象を観察すると、片足をあげたり、壁にもたれかかったりしている様子がよく見られるらしいです。これは足にかかった体重を分散させようとしている行動です。

また動物園が虐待であるといえる根拠の一つに、平均寿命があります。象の平均寿命は本来は人間と変わりません。80、90、100歳まで十分に生きるのです。この園では100歳を超える象がいます。ところが動物園の象の平均寿命は40歳程度だと言います。日本国内最長がはな子の66歳だったことからみても、動物園がいかに象にとって虐待かわかるかと思います。

 

ところで動物園やサーカス、どこでもいいですし、他の動物でも構いませんが、動物を見ていてこんな疑問を持ったことはありませんか?この動物の家族はどこなんだろう。母親、父親はどこなんだろう。

社会性のない動物もいますのでそれらは除外するとして、象は人間のような社会性のある動物です。家族、群れ単位で暮らし、そこにはもちろん親子の象がいます。オスは15歳あたりで群れから出て行きますが、メスはずっと母親と暮らします。単独で孤独に生きる象はいません。一匹でいる象を見つけた場合、それは家族と引き離された象なのです。

 

象の家族への愛情がどれだけ強いものなのかのエピソードがあります。

とある象はずっとロギングの仕事をさせられていましたが、ある時に妊娠し出産しました。ところが業者はあろうことかこの生まれたばかりの子供を母象から奪い取ったのです。母象は小象を取り返すべく大暴れしますが、結局は人間に叶わず子供を取られてしまったのです。この母象はこの事件の後、なんと一切の労働を放棄したのです。今までそんなこと一度もなかったのに、そして棒で何度も何度も叩かれたにもかかわらず、一切働かないのです。そればかりか食事も一切取らなくなってしまいました。母象は子供が返ってこないなら自分はもう死んだも同然、死んでもいいと覚悟したのです。

象の大きな愛情を表すだけでなく、なんと象は死の概念を理解しているということも分かるかと思います。

象は家族が死ぬと涙を流します。そして死んだ象の側を離れようとしません。死んだ事、死の概念を理解しているのです、そして悲しみから涙を流すのです。

 

象がどれだけ人間と同じ様な心を持っているのかおわかりいただけるかと思います。

逆に考えると人間と同じ様な心を持っているからこそ、人間にも象の気持ちが理解できるはずです。

虐待され危険な労働に毎日休みなくかりだされる、レイプされ妊娠させられた挙句にその子供を奪い取られる。これを人間がされていたらどう思いますか。もっと踏み込んで自分の家族がそういう状況に置かれていたらどう思いますか。

少なくとも可哀想と思ってもらえるのではないかなと思います。

そして助けてあげたいと思った方もいるかと思います。

では何をしたらいいのでしょうか。

この園のオーナーの言葉をそのまま使用しますが、助けるというのは何もボランティアに参加したり、ましてや同じ様な象の保護施設を作るというだけではないのです。今日この記事を見て何か感じて頂けたのであれば、その感じたことを他の誰かに伝えるだけでもいいのです。幸いにもこの情報化社会ではSNSを使うことで簡単に大きな声になります。

一人一人の声が重なって集まって大きな声になり世の中が動きます。ちょうど象のロギングが皆んなの声でタイで違法となった様に。

 

ここElephant Nature Park はそういう皆んなの意識の変化による改革を目指している様です。象を食い物にしている業者への一定の理解を示し、そういう業者を叩くのではなく、あくまで教育などを通じての意識の変化による改革を行っています。

 

今回ブログ読んでいただいて、少しでも共感いただけたらその内容を発信していただけたら、それだけで皆さんも象を助けていることになります。

ぜひ一緒に象を助けませんか。